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「ち、違います。イヤとかじゃなく、困るんです。」
「困る?困ることなんかないだろ、友達なんだから」
「専務と僕が友達になるなんてありえないし、変に勘繰る人もいると思うんです。それに・・・」
「それに?」
「専務、女性にモテるみたいだから、仲良くしてると女子社員にいじめられるかもしれないじゃないですか。それじゃなくても、僕はいじめられる風貌なのに」
「俺が、そんなの一喝すればいい話だろ?」
「穏やかに仕事したいし、地味に生活したいんです。それに、僕は女性が苦手なんです。ほら、付き合ったこともないですし・・・。だから会社内では知らないふりしてくれるなら、友達になります。」
晃は、少し納得いかなそうだったが、渋々うなづいた。
もう遅いからと専務は、彩の家まで車で送ってくれた。
そんな専務の態度に、きちんとしている大人の人だな・・・と思った。
ふわふわして気持ちよくて、最終的に楽しかった時間だったのに、家に帰ってドアを開けた瞬間、里実姉から「彩、お前DVDは?」と怒鳴られ、連絡をするのを忘れてたことに、今更ながら気づいた。
一瞬にしていつもの奴隷制度の現実に戻った。
あの人は、いろいろ命令のように上から目線で話すけど、姉たちのように、頭ごなしに怒鳴ったり、自分の都合で命令しなければいいなと思うのだった。
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