秘密の友達

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今週は色々あったなと、彩は思いに耽っていた。 嫌な奴って思ってた人は、会社の専務で、俺様な感じは、表現下手で・・・人ってわからないなと思った。 しかも、なんにも取柄もない、むしろダメなところしか見当たらない僕を気に入ってくれてるらしい。 もうこんな奇特な人は、今後現れないと思う。 友達の真治は、きっと大家族で面倒見がいいから、ダメな僕のことをほっとけなくて、弟みたいな目線で面倒みてくれてるんだろうし・・・。 専務から、こんなに真正面から気に入ってるって直接言われるのって、嬉しいものだなと、ベッドで抱き枕を抱えながら、にやけてゴロゴロしていた。 ブーブーブー・・・ブーブーブー・・・ スマホのバイブの振動を感じ、ベッド横にある棚の上のスマホを見た。 メールの通知欄に『あきらさん』という文字が出てる。 昨日の帰りに、会社で話しかけられないならと、半ば強引に電話番号とメールの登録しろと言われてその場で登録をさせられた。 その時、表示させる名前をどうするべきか悩んだ。 『専務』『東郷さん』『晃さん』『あきらさん』 どれもこれもしっくりこなくて、しかも会社で表示されたらバレそうな気がして、最終的には、一番バレなそうな『あきらさん』にした。 専務には、『黒須』や『いろどり』だとバレるから、漢字で登録してもらったっけ。 なんだか、オフィスラブ禁止されてる会社で恋愛してるみたいだな・・・っと彩は苦笑いしながら思った。 (あ、メールみなきゃ。) 彩は、ロック解除してメールを見た。 『おはよう。昨日は平気だったか?とにかく今日は寒い。温かくするんだぞ。』 (な、なにこのメール!!!) 「ちょ、お母さん?不器用かよー。もっとなんか話題的なものないわけ?」 でも、なんかこの人の不器用な部分や表現下手なところがかわいい。 11歳も上の役員の人に対してかわいいって変だと思うけど、恋愛経験ゼロの僕だって、こういうのは可愛い部類に入るんじゃないかと抱き枕を再び抱え直して専務のメールを打ってる姿を考えて身もだえた。 たぶん、ギャップ萌えってヤツだ。 僕だとしたら、ギャップ萌えを狙えるとしたら何だろうか?って考えてみるも、ひとつギャップらしいものはなく、見た目と性格と、行動が見事に合致してると思って項垂れる。 つくづく、つまらない男なんだなと思った。
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