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彩も、晃に返事を書く。
『大丈夫でしたよ。姉に、DVD借りてこなかったことを責められて、すぐ自転車で借りに行ってきました。本当に寒いですね。専務も温かくしてくださいね』
メールの文面を何を打つべきか考えて10分もかかってしまった。
しかも、打ってみたものの硬いメールな気がすると思いつつ、初めてのメールはこのくらいかと思ったり、メール1つでかなりの体力を奪われた。
でも、このメールを受け取った専務はどんな顔をしてるんだろと思うと、彩は、自然と少し頬が緩んだ。
年上の内緒の友達。
これから少しずつ仲良くなるだろう、久々の新しい友達のことを思ってワクワクしていた。
*****
結局、休日に当たり障りのないメールを何度かやり取りした。
たぶん眉間に皺をよせながら、メールをしてる姿を想像すると、顔が自然と緩んでしまう。
(あの人、メールなんかするんだなぁ。でも、かなり短い文章だけど・・・)
「黒須さーん、おーい、黒須さーんっ」
しゅー・・・・ドンッ
隣の席のみるきぃが、椅子を滑らせて体当たりしてきた。
「わっ!よ、吉田さん、な、なにか?」
「黒須さん、土日に何かいいことありました?」
「はい?なんでですか?」
「だらしない顔してるぅ~」
「だ、だらしない顔?!」
ほら、その顔!と言わんばかりに、みるきぃは彩のペンで頬を差してきた。
「だらしない顔ってなんですか?僕はいたって普通ですけど?」
「ウソだぁ。だってさっきから、パソコン見つめてる顔が、ニヤニヤしてましたよ」
そうみるきぃに言われた瞬間、彩は自分の頬を両手で包んで真っ赤になって俯いた。
みるきぃは彩のそのしぐさを眺めて、ニヤニヤしていた。
その行動が、まるで肯定してることなんてつゆ知らずに・・・。
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