【特別番外編】夢のようで夢ではない夢

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 抱きしめたい衝動に駆られる。野々村さんになりきれという言った手前、白蛇っぽさを失うわけにはいかない。  まだ、我慢だ。相変わらず、野々村さんは毛布を抱きしめている。  今まで、相手の求めに応じるのがセックスにおける俺の役割だった。自分がしたいと思うことをできずに、もどかしくなるなんて初めてだ。   もどかしいのに楽しい。野々村さんがやめられなくなるポイントを探す。どこかにゴッコであることを忘れる場所がある。  肩甲骨からわき腹の方へゆっくりと舌を這わす。背中と臀部の境目をなぞると「ひゃっ」と短く声をあげた。  その場所を集中的に攻めてみる。反応が違う。逃れようとして身をよじった。  俺は後ろから、両手で腰を押さえた。舐めるだけでなく、軽く歯をたててみる。  悲鳴にも近いあえぎ声が闇に響いた。
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