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「いただきます」
フォークを手に取る。オムレツの端の方を一口大に切り離す。
「チーズオムレツなんや」
中はとろとろな上に、チーズが伸びて、美味しそうだった。早速いただく。
「何、これめっちゃ美味しい! ハーブの香りまでする」
荻原さんは照れ笑いを浮かべた。
「口に合ったんなら良かった」
パンの焼き具合も絶妙でコーヒーまでも美味しい。
私は『美味しい』以外の単語を言えない子供みたいに、何度も口にした。
「いや、荻原さんはほんまに良いお嫁さんになれるって」
「俺は、男やって」
怒ったような顔をみせる。こうやってみると、かわいい顔をしている。
これからはもう少し親しくしたい。なにせ、修学院かれん先生の従兄弟なのだから。
「昨夜のこと、荻原さんも忘れてほしいんやけど。それで、これからは時々飲みに行ったりできたらええなあって」
「忘れられるわけ、あらへんやろ」
言葉を遮られた。
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