宴の後

10/21
6993人が本棚に入れています
本棚に追加
/323ページ
 心から悪いと思った。自分で巻き込んでおいて、さっさと忘れて、このままうやむやにして何もなかったことにするなんて、私らしくない。  やってしまったことはやってしまったことだ。  どんなに恥ずかしくてもちゃんと受け止めて、荻原さんにも謝りたい。 「ヒント……自分で思い出すから、ヒントをちょうだい」  荻原さんが面食らっている。 「ヒントって、まんま話すより難しいやんか」  手のひらで額を押さえて考え込んでいる。 「ゴッコの名前言うたらいいか?」  ため息をつきそうになる。また『ゴッコ』か。 「もう、それでええよ」  荻原さんが「待ってや、思い出すから……あれは、ベタ塗り手伝わされたし、結構内容も知っとって……」  ベタ塗りって……かれん先生がらみのようだ。しかし、原稿の手伝いまでするとは思わなかった。こっちが解決したら、次はかれん先生の情報収集をしなければ。
/323ページ

最初のコメントを投稿しよう!