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――――そなたの体にはもう、我が舌の触れておらぬ場所はない。
擬人化した白蛇神は恐ろしく美しいし、生け贄姫も十五、六の美少女だから成り立つ名シーンだ。
もう、若くもないという言い回しでも不足の、棺桶に片足……は言い過ぎかもしれないが、古びた女の体を舐め……。
私は机に顔を伏せた。
「ここまで嫌がられると、こたえる。夢やったと思うって言うたやん」
それは誤解だ。 私は顔をあげた。
「そんなことをさせたなんて、悪いと思っただけやから。せやけど、断ってくれたら良かったのに」
荻原さんが真顔になった。
「野々村さんにそういうこと頼まれて、俺が断るわけないやん」
言い方がひっかかる。
「十年も前に相手にされなくて、いつまでもストーカーみたいにネチネチと思い続けとったわけやないけど。今でも変わらずきれいやし、凛としてるところも尊敬しとるし、俺にしたら千載一遇のチャンスで……。なんか手の届かなかった人が、自分の腕の中にいて、あんなに乱れ……」
「み、乱れ……」
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