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隣の王子
隣の席の沢村君は、仕事ができる。
うちは外資系の保険会社なので、正直、生き残っているのは仕事のできる人ばかりだ。
その中でも、沢村君はずば抜けている。
入社してきたと思ったら、いきなり、エリアの新人記録を塗り替えた。
どういう人脈か、企業の福利厚生で保険を預かって来るから、一度に何十人もの契約があった。
そんな彼も今年で入社三年目になる。それでもまだ、ピチピチの27歳。私とは親子ほども離れている。
くわえて、ハンサム。私のみたてでは、身長は180センチを超えている。手足も長い。
濃紺の縁の眼鏡をかけているが、その奥の瞳の輝きといったら、三次元ではなかなか拝めないレベル。
それだけで終わらないのが、沢村君のすごいところ。
なんと、声まで良い。ちょっとしたクサイ台詞にも堪えられる、低めのイケボ……イケてるボイスの持ち主なのだ。
まさに『王子』の風格。
いつも忙しくしているので、残念ながらあまり話す機会はない。
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