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何だろう。私の人生は、と思う。
いつもは、目を背けている現実だ。
誰しも何もかもを手に入れられはしない。
だけど、家庭もあって、自由もあって、お金もあってと多くの物を手にしている人もいる。
人と比べても仕方ない。
わかっている。
今更、人生やり直せない。
わかっている。
どんなにあがいたって、年老いていく。
わかっている。
私は、一人寂しく死んでいくんだ。
わかっている。
だから、何だ。
私は、これでいい。ちゃんと選んで今がある。
「野々村さんは、ほんまに、一人でええ人なんやな」
突然、荻原さんに言われる。
「どういう意味?」
荻原さんが頬杖をついて私をみた。
「自分ですぐに立ち直る」
「かわいくないってこと?」
頭を横に振った。
「いや、尊敬する」
結局、かわいくないと言うことだろう。
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