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たとえばto codaで飛んだ先にfineがないみたいな
「何がきっかけ?」
駅前のファーストフード店の二階席で、彼女は僕にそう尋ねた。それはもう切羽詰った表情で、さして大きくもないテーブルに身を乗り出すようにして僕の返答を待ち構えるものだから僕は思わず仰け反り、場違いなほど椅子が大きな音をたててしまった。お隣でポテトをつまむお姉さんの手が止まり、ちらりと僕を見る。僕はひょこりと軽く頭を下げてから、向かいに座る幼馴染の顔をにらんだ。
「それ、今聞く?」
僕が頭を抱えたい気持ちでそう言えば、彼女は、「だって」と口を尖らせた。いったいどういうつもりなのか。彼女はこっちの気まずい顔をきっちり見据えて、「いつから?どんなところが?」と続けた。店内は外の熱風に抗うかのようにキンキンに冷やされ、彼女の気に入りのイチゴのシェイクはまだ随分と残っている。それが空になるまで尋問が続くのかと思うと頭が痛くなりそうだ。僕の前には彼女のおごりのバニラシェイクが残り三分の一。こちらをさっさと片付けてしまえば、とストローに口をつけて思い切り吸った。
「教えてよ」
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