因果律

　澄み切った空気をたたえる、晴れやかな休日の朝。男が一人、自宅から出てきて、大きく伸びをしながら呟いた。

「ああ、なんて素晴らしい朝だろう。平凡も極まれば特別な日となるのだろうな。今日は何だか、良いことがありそうだ」

　見上げれば、雲一つない清々しいまでの青空が広がっている。優しい日差しの中、小鳥たちの美しいさえずりが響き、時折吹く柔らかい風は、かぐわしい花の香りをさり気なく運んでいた。

　いつもと同じようで、どこか違った平穏な風景。幸運の女神にでも見守られているような、そんな不思議な気配に包まれ、今日という一日は静かに幕を開けたのだ。