第一章:一日目と1803回転前

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「えーと・・・4年と343日かなぁ?いや、うるう年があるから4年と342日になるのか!?いずれにしろ、約5年前だよね」 「リョウちゃん、5年前に何があったっけ?」 「俺達、小学3年生で・・・えっと4月頃になるのか?東京に引っ越してきた時ぐらいかなぁ?」 「リョウちゃんの引っ越し・・・そうそう、リョウちゃんの家族がここに引っ越してきてさぁ、倒れた荷物がうちの庭に入りこんで、私が大好きだった黄色いチューリップの鉢植えを壊したんだよ!!」 と言って椅子から立ち上がり、窓のそばで外を指をさした。 「あそこら辺だよね、たしか?」 自分も窓のそばへ行ってミサトが指さすほうを見た。 ミサトの家の塀が見える。 そうだ、思い出した! 引っ越しの最中に、風が吹いたのか、何かの拍子で父親がバランスを崩して両手に積んで持っていた軽い荷物が横に傾いて、ミサトの家の塀を越えて落ちたんだった! 茎が折れた黄色のチューリップの鉢植えが横たわっている光景は写真のようによく覚えている。 「でも、代わりのチューリップ、俺の親がすぐ買ってきたじゃん!」
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