第一章:一日目と1803回転前

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「お~~~!ちょっと、これ見て!」 「何?」 「スゲ~!」 「リョウちゃんの部屋、テーブルとか机、パンが散乱してて、粉とか、やたら落ちてるよ、掃除しなよ!」 「そんなの後でやるから、見てみなよ!胞子だよなぁ、コレ!」 「ちょっとどいて、どいて。・・・うわぁ、綺麗!」 「これ、パンのカビだぜ!結構、カビを成長させるの大変だったんだ」 「大変じゃないでしょ、バターとか塗って放置しとくだけなんだから」 「いやいや、大変なんだって。わかってないねー、素人は」 「でも、オモチャみたいな顕微鏡だけど、良く見えるね~!これ」 「オモチャって言うなよ!買ってもらったばかりの人の顕微鏡を!」 いつもと変わらない二人のやり取り。 中学2年生になって約1ヶ月が経った。 自分の名前はリョウ。 全くパッとしない男だと思う。 どの科目も得意じゃないし、運動もダメだし、クラスのヒーローなんかありえない。 顔も自分でいうのもなんだけど地味で、やはりパッとしない。 ただ、物事にハマるとそれに集中することは確かだ。
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