第一章:一日目と1803回転前

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親に買ってもらった顕微鏡で、数日前から小分けに切ったパンにバターやらジャムを塗り、それぞれカビを発生させたものを作っていた。 あまり気持ちはよくないけれど、どんなカビの姿なのか見てみたいというほうが優先し、楽しみにしていたのだ。 この日、二人で初めて顕微鏡で観察した。 ミサトは自分を追い出すように椅子からどけた後、髪を後ろに束ね、長いこと顕微鏡を独占し、眺めながら普段より落ち着いた声で言った。 「やっぱりさぁ、人の目じゃ見えない事、見た目じゃわからない事ってあるよね・・・」 「何?突然、悟ったような発言」 「人って決めつけるでしょ。最初のイメージとか見た目でレッテル貼ったりとかさぁ」 「まぁね、それはあるかもね」 「新しいクラスでさぁ・・・もう派閥みたいなのができて・・・スクールカーストみたいな暗黙の序列ができてさぁ・・・。そういうの嫌だよね・・・」
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