第一章:一日目と1803回転前

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「緑色も綺麗だよ!なんか宇宙の生き物みたい!」 突然、話を切り替え、カビに夢中になるミサトに、こちらの気持ちがついていけなくなる。 「無視は辛いって言ってたけど、ミサトが俺を無視してるんじゃん。ちょっと変わってよ、俺の顕微鏡なんだから」 「わかった、わかったよ!ちょっと待って、ねぇ、ねぇ、スライドグラス動かしてみたんだけど、この緑の辺りの青いのもカビかなぁ?綺麗ではあるけど・・・なんか怖くない?」 ようやく、ミサトの顕微鏡独占が終わった。 接眼レンズから顔を遠ざけ、自分のほうに振り返り、真顔で見つめている。 ミサトに代わり顕微鏡を覗いてみる。 「どれ?・・・青いやつ?」 「そこら辺、良く見てみて、青い丸のところ、何かさぁ、怖さ感じない?」 網目の菌糸の上に緑色の丸い胞子が沢山ある。 その中に混ざって青い丸が所々に見える。 「たしかに、これも胞子なのかなぁ?人生ゲームの車に差す棒みたいなやつ、それの青バージョン。上部の青い丸の真ん中に横線があるよねぇ・・・これってもしかして・・・」
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