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人見知りな上に喋り下手な私がほぼ初対面の後輩と2人きり…
私にとってこの状況は苦痛な筈なのだが、今回は何となく嫌な感じはしなかった。
「えっと、鳳至さんだっけ?ごめんね、私の方に付き合わせちゃって。」
「全然大丈夫ですよ。怪我で練習できないのつらいですよね。あと、私のことは尚子って呼んでください。」
「尚子…ちゃん。」
「ふふ、呼び捨てしてください。若葉さん。」
…!名前覚えてくれてる。
「じゃあ…尚子。私の名前覚えてるのすごいね。あんだけ人数いるのに。」
「覚えますよ~。南さんも呼んでましたし若葉さんかっこいいですもん。」
どきっ
「かっこいい」というフレーズはちょこちょこ聞くが尚子から聞こえてきた響きは、いつものと少し違って聞こえた。
「今朝初めて会ったとき、南さんが若葉って呼んでて、いい名前だなあどんな苗字なんだろって考えてたんですよ。で、自己紹介されてて佐倉若葉って、若葉さんにすごいぴったりだなあって思いました!」
「ありがとう。照れるな~」
恥ずかしくて尚子の顔が見れず、下を向きながら歩く。
自分のことを考えてくれていたことが嬉しい。
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