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一度アパートに戻ってから自転車に2人乗りしてスーパーに向かった。
2人で食品売り場に行き、今日の夕飯の食材を買い求める。
当たりまえだが、私はカート押し係で、花子は食材選び係。
並んで歩いていると周りの買い物客からチラチラと見られていることがわかる。
花子を見て振り返らない人はきっといないだろう。
「若葉、鶏肉と豚肉、どっちがいい?」
「ん~豚!」
「ん、じゃあ生姜焼きにしよ。」
部活で疲れている私を気遣って、花子は食事の栄養バランスもきちんと考えてくれる。
マネージャーの仕事もけっこう忙しく大変なのだが、自分のことより私のことを優先してくれる花子はやっぱり出来た女だと思う。
買い物終え、わたしたちはまた一緒に自転車に乗ってアパートに帰る。
「今日さ、若葉と一緒にいた尚子ちゃん?可愛いかったね。」
ドキッ
後ろに乗った花子から急に尚子の名前が出てきて少し動揺する。
「う、うん、今日トレーニングの補助してもらってたんだけどすごいいい子だったよ。私でも普通に喋れたから。」
「え~若葉が初対面の子と喋れたの?!すごいね。若葉、尚子ちゃんのこと気に入ったでしょ?」
「気に入ったって…後輩はみんな可愛いよ。」
「ふ~ん、まあ悩んだらすぐ相談しなよ。」
花子はそう言って私の背中に頭をもたれかけた。
しつこく追求せず、だけど気にかけてくれる花子の優しさにいつも助けられる。
「花子ありがとね。」
「ん?なんか言った?」
後ろにいる花子に聞こえなかったみたいだが、構わず私は鼻歌を歌いながらアパートへ向かった。
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