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「佐倉さんかっこいい…」
「2人ともきれい」
そうそう、たまにこういう声も聞こえてくる。
花子の隣にいつもいるからか、花子の美人オーラがもれなく私にもついてきてるらしい。
しかし私と花子は全くタイプが違う。
花子はセミロングのゆるふわパーマに色白の肌。くりっとした大きな瞳。女の子らしい私服。THE女。って感じ。
対する私は無造作な短髪を暗めの茶髪に染め、奥二重の涼しげな目。日焼けした肌に格好はほぼ毎日ジャージ。身長は162センチとそれほど高くないが、たまに男の子に間違えられることもある。
短大に入ってから男女問わず何回か告白されたが、何かの間違いだろうと全て断ってきた。
私の恋愛対象は男女両方のいわゆるバイセクシャル。
自分が女も好きになると気づいたのは高校生のとき。
それを知っているのは花子だけで、あとは家族にも誰にも言っていない。
一緒に写真を撮ってほしいと近寄ってくる人は何人もいたが、大抵しばらくすると何もなかったかのように熱が冷める。
高校のときから同じことが何回もあったので、自分に好意を寄せられてもそれは一時のものだと思うようになった。
どうせあの人も、この人も、「好き」なんて一瞬だ。
私は人の好意を信じない。
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