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バイト先で士朗は別人の様に冷静で、近寄りがたいオーラを放っているだとか、士朗の就職先の近くの弁当屋でバイトしている有村は、先輩のリュウさんとのやり取りなんかも良く報告してくれていた。
「リュウさん、カッコいいんすよ!」
「へぇ……」
「何かこう……クールっつぅか、大人の色気出まくりって感じで! あれはホレるっす!」
「士朗と一緒に仕事してる先輩だよね?」
クリスマスの朝、この部屋のベッドで、士朗の腕に抱かれて目を覚ました日が蘇る。
「そうっす! 俺が士朗さんと仲良くしてるって知ってから、よく弁当買いに来てくれんすよ」
「良い人だね」
「でも、士朗さんの方がカッコいいっす」
「そっか……」
自分が知らない士朗が、有村の口からポンポン吐き出されると、時々焦りに似た落ち着かなさが清水の肌を撫でる。
今は受験に集中しないといけない。
そう自分に言い聞かせては、知り得ない士朗を知りたい欲もあって、有村の話に僅かに振り回されている。
有村は自分の用事がない時は、ほぼ毎日通ってくれるようになり、妙な出前システムは続いた。
清水は有村に一つだけ、来る時は一緒にご飯を食べてくれるようにとお願いすると、割と本気で嬉し泣きされて、若干引いた。
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