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清水はつい口から零れた独り言に、ハッと気づいて周りを見渡し、俯いた。
マスクをしているので誰にも気づかれてはいなかったようだけれど、危うく悪目立ちする所だった。
士朗が短冊に書いていたのは、意味不明な数字の羅列だ。
清水はそれを脳内で読み上げる。
2085 1211920 16175 156 2085 131793 156 1415205 2151511
最初に思い当たったのは、元素番号だった。
前に和泉の所へ一緒に行く為に新幹線に乗った際に、元素番号を使って恥ずかしい会話した事があったからだ。
清水はその時の事を思い出して、一人恥ずかしくなってしまう。
20番はCaカルシウム、85番はAtアスタチン、Caat……?
次の12番はMaマグネシウム、119番? いや、11番……でもそしたら920番なんてあり得ない。
しかも119番は元素記号の中でも8周期目に該当する未発見元素で、ぶっちゃけそんな所まで正確に覚えちゃいない。
清水は携帯を取り出し、元素記号119番で検索してみた。
答えはUueウンウンエンニウムと言う人工的に合成された放射性元素らしい。
「……これ、分かんなかったらどうしよ」
マスクの内側に零れた清水の独り言は、生温かい吐息となってメガネのレンズを曇らせた。
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