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清水はもう一度、数字の羅列された短冊を眺めて「シンプルに……」と呟いた。
1に“あ”を当て嵌めたとして、2085だと2は“い”になるが、0がどれに該当するかが分からない。
20だと“あ”から順番に数えて二十番目が“こ”になる。
でもその原理だと2085は“こくお”になって、これもまた意味を為さない。
じゃあ1が“A”なら、と考え始めて、その暗号は倒れるドミノの様に一気に繙かれた。
アルファベットのAから順番に1、Bは2、Cは3と言う様に番号を振ったとして、その番号に当て嵌まるアルファベットを並べて行くと、短い英文が出てくる。
到着する十分ほど前、清水の脳内に出て来た答えは、願い事でも励ましの言葉でも無かった。
The last page of the magic of notebook.
魔法のノートの最後のページ――――?
清水はハタと気付いて、士朗からクリスマスに貰ったスチームパンクな皮の表紙のついたノートをリュックから取り出した。
まだ何も書いてはいないけれど、手元に置いておきたくて持って来たそのノートは、ごつい装飾のお蔭で少しリュックを重たくしていた。
裏表紙の手前、最後のページが薄く糊で端っこだけ止めてある。
清水はそれを破らない様に丁寧にはがして、開いた。
“清水へ”
士朗の直筆でそう書かれた最後のページには、士朗からの手紙の様な一ページが用意されていたのだ。
七夕の時点で、新しいノートを贈るつもりの、用意周到さが憎い。
出来ない事を書き綴ったあのノートが“何でも叶えてくれる力のある魔法のノート”だなんて士朗には一度も言った事はないのに、和泉からの贈り物だと気付いていた士朗は、全てを察していたのだろうか。
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