第2話 心臓の行方

2/6
前へ
/55ページ
次へ
医師『いやいや、私は大したことはしていないさ…君は体を強く打って心肺が停止している状態だったんだ…でもね?ちょうど運悪く君と同じタイミングで同じ場所で事故にあってこの病院に搬送されて来た子がいてね?その子も君と同じ名前で東城和希君って子だったんだが、その子がドナーを全て提供出来るようにカードに書いててくれたおかげで彼の心臓を直ぐに君に移植することができて君は生き延びることができたんだ。』 和希『え?…そういえば俺と一緒に子供を助けてくれた奴がいたな…あいつ俺と同じ名前だったのかよ。不思議な縁だな…しかもドナーカードも書いていたのか…それに心臓を移植したってことは…』 医師『残念だが…彼は搬送された時には既に出血が致死量に達していてもう助からないと分かっていたんだ。救急車で運ばれる中で、救急隊員が彼の手にドナーカードが握られていることを発見してね。それですぐさま手術に移れた訳でもし彼がドナーカードを所持していなかったら恐らく君も助からなかったかもしれない。』 和希『そう…ですか。その彼には感謝しても仕切れないですね…』 医師『そうだね。でもね?彼は確かに生きてるよ?君の左胸で脈打つもの…それは確かにあの東城和希君のものだからね。…そうだ、さっき意識が戻った事をご家族に連絡を入れたから後3時間程で着くはずだよ?元気な姿を見させてあげなさい。それじゃ私は失礼するよ?』 和希『はい。ありがとうございました。』 そう言って医師は部屋を後にした。     
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加