一話 「二人の放課後」 中

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「ごめんって! 悪かったって! 痛い、ストップ!」  そのままの勢いで俺の足に四の字固めをかけようとしているところをを精一杯なだめると、やっと攻撃を止めてくれた。  健二は「階段から転げ落ちて全治二ヶ月の骨折」という恥ずかしい怪我をして、治った後陸上部を退部した。学校の決まりで部活動に入ることは強制なので、しかたなく幼稚園からのつきあいの俺がいる新聞部に入部してきた。そのとき新聞部は三年生の先輩が早めに引退し、部員が俺一人になってしまったばっかりの頃だったので、寂しかった俺からしたら部員が増えて願ったり叶ったりだった。しかしそれでもまだ部員は二人。部活動でこれは少なすぎる部員数だ。廃部の可能性も十分あり得る。そこは来年入学してくる新入生に賭けるしかない。  俺と健二は久しくやっていなかった激しい運動にすっかり息を荒くして、少しのあいだ呼吸を整えるために床に座ってなにもしゃべらなかった。はたして新聞部がこんなことをしていていいのだろうか。  先に呼吸を整え終わった健二は、立ち上がって机の椅子に座った。 「こんな事やってねえで早く始めようぜ。それにしてもいつ見ても汚えテーブルだな。今日は片づけやるか。」     
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