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一話 「二人の放課後」 後
「[近所の猫、雑草で優雅なランチタイム]か……。こいつはひでえな。こんなんで一面飾っちゃってるよ。」
「ちょっと見して。」
健二から渡された新聞は、A3用紙の上半分に学校の駐車場を歩く猫や草を食べる猫の写真が何枚も貼ってあって、下半分は猫の行動と、さすがにネタが尽きたのか猫が食べた草の学名なんかが書かれていた。確かにこれはひどい。よくこんなものを廊下に掲示しようなどと思ったものだ。
「これは、捨てていいよな。くしゃくしゃだし。」
すると健二はペンを箱に入れる手を止め、
「だめだろ。こんなんでも写真撮ったり記事考えたりで一応それなりの手間はかかってんだからさ。」
これが新聞部の部室がすぐに散らかる大きな原因だと俺は思う。
我らが東中学校新聞部は、活動が始まって以来ずっと手書きの新聞にこだわっている。鉛筆で下書きをして、ペンでなぞる。写真も一枚一枚コピーして貼り付ける。完成までに手間がかかっているので、どんなにつまらない記事の新聞でも捨てるのは名残惜しくなってしまうものだ。
「お前そんなこと言ってから部室が散らかるんだろ? こういうのは、思い切って捨てないと。」
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