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「いいや、捨てちゃだめだ。手書きのぬくもりってのがあるんっだよ。」
ほらよこせ、と健二は俺の手から新聞を取り上げた。
これ以外にも、机の上にはおびただしい数の新聞が山を形成している。普通、完成した新聞はファイルにまとめて保存するが、2ヶ月ほど前ファイルが満杯になってしまい、それからず完成済みの新聞は机の上に放置するようになっている。
俺たち新聞部は一週間に一枚のペースで新聞を作成しているので、机の上はすぐに新聞まみれになってしまった。
「片づけるっていったって、新しいファイルがなきゃどうしようもないだろ。」
「そうだよファイルが無いから散らかるんだよ。んじゃ、休みの日に買ってくるわ。」
その言葉を健二の口から聞くのは何回目になるだろうか。先週もそう言って結局買ってこなかったような気がする。
「お前、今度こそちゃんと買ってこいよ。」 まかせとけ、と返事をしながら健二は片づけを続けた。
「よし、こんなもんで良しとしよう。」 健二は腕を組み、辺りを見回した。ペンや紙をまとめただけだが、だいぶきれいにはなった。これでやっとのびのびと作業が出来る。新聞はA3の用紙に書くので、広いスペースが必要だ。
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