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「兄ちゃん、男気があるところを見せたかったんだろうけどよ。こいつはこの定食屋以外にも、俺たち商店街の食い物屋からも食い逃げしてるんだ。だから皆でコイツが現れるのを見張ってたんだ。そんなにコイツを助けたいんだったら、俺たちの店の損失も全部清算してくれよ」
と詰め寄って来た。
自分でも格好良い事を言った手前、金額が増えたからと言っておじさんを見放す事は出来なかった。
「わ、わかりましたよ。で、全員の請求額は幾らなんですか?」
大塚が商店街の食い物屋さん連中からの請求金額を聞くと、全財産では余裕で支払える金額だったが、手持ちの財布では足りない、という金額だった。
「今は手持ちがこれだけしか無いんで…」
と言いながら財布の中身を商店街の店主たちにみせて、
「家に帰れば有るので、一旦家にお金を取りに戻っても良いですか?」
と訊いた。
しかし、散々食い逃げの被害を受けていた店主たちは人間不信に成っていたため、
「否、駄目だ。兄ちゃんもそのまま居なくなっちゃうかも知れないだろ?」
と言って、大塚がシェアハウスに戻る事を承知しなかった。
困った大塚は、詐欺グループの幹部であるルパンに助けを求める視線を送った。
ルパンは大塚の野良犬が助けを求めるような情けない視線を見て、
(しかたがないな、俺が人肌脱ぐか)
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