誤解が解ける時、それは二人の終わりを告げる時…

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 この違和感をスッキリさせないとイケないのだ!と自分の刑事の勘が訴えかけて来た。  だからもう一度身の上話を何度も反芻する。  “家族も何度か警察にご厄介になった”…  という箇所が引っ掛かったのだと気づく。  そもそも家族が警察にご厄介になった人間が、警察官になれるのだろうか?  警察官の採用の際、警察はその採用予定者の身辺を念入りに調査する。  その範囲は本人から見て六等親の親戚(はとこ)までも調べられる程だ。  まして親や兄弟が警察沙汰を起こして居たら、警察は採用を見送る筈だ。だから家族が警察にご厄介になった人間が警察官の筈はない!  そう、大塚が警察官ではないと仮定して考えると、過去の大塚刑事との会話の違和感も説明が付くことに気がついた。  急いで大塚に気付かれないように、密かに今泉警察へ万座警察署に大塚刑事という人間が居るのかを照合してくれるように要請した。  今泉署で照合したら、ここで初めて万座警察署が既に詐欺グループの幹部を単独で逮捕している事が判明した。  そして詐欺グループの名簿を手に入れた今泉署は、大塚刑事の正体がフルネーム大塚啓治である事もつきとめ、ルパンの勘違いから起こった誤解だった事も判明した。
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