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こうして順調に、潜入捜査を行うシェアハウスに来ることが出来た。建物の外観は、シェアハウスなどと今風な呼び方をしているが、第一印象は完全に昭和を感じさせるボロアパートだった。
ルパンは、如何にも詐欺集団の末端が住み込みで働かせられそうな場所だな、と思いながらチャイムを鳴らす。
『ピンポーン』
すると、程なくして中から、若い男が顔をだした。若い男と言っても、もうすぐ30に手が届きそうな、この歳になっても一般企業に就職出来なかったんだろうな、と思わせる年齢の男だ。
ただ、見た目は精彩を感じさせて、一般企業に就職出来なかったんだろうな、と言う印象の凡庸な風体ではなかった。
「アルバイト募集を見て、住み込みで働きに来ました。宜しくお願いします」
と、早速上村は先住民に挨拶をした。これから仲間の振りをしなければイケない男なので、その人間と親しくなるには挨拶が肝心だ。
すると男も軽く自己紹介を始めた。
「良く来たね。私は刑事だ。大塚刑事。宜しく頼むよ」
と笑顔で握手を求めて来るではないか!
予想外の名乗りを受けて、狼狽しつつ、それを悟られる事のないように差し出された握手を返す。
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