刑事と怪盗?

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(何だよ。詐欺集団の下っ端が居るかと思ったが、捜査会議で言ってた彩魂県警万座署の刑事が先に潜入してたのか。道理で、ただの就職難民青年には見えない雰囲気を漂わしていると思ったよ!それじゃあこちらも、それとなく刑事である事を知らせないといけないな)  そう思って上村は、普段デカ同士で通っているニックネームが良いと考えた。 「自分は、周りからルパンと呼ばれています。大塚さんも今後はルパンと呼んで下さい」  それを聞いた大塚は、 (ルパン!? ルパンって怪盗かよ!そりゃあ如何にも過ぎるだろ!?まぁ良いや、これで敵の潜入じゃ無いことが分かった。仲間だと解り安心したぜ)  と胸を撫でおろした。  ここで読者は、何か変だぞ!?と思われたかも知れない。  そう、変なのである。  実は、先ほど名乗った先住民の大塚だが、大塚のフルネームは大塚啓治と言って、警察関係者でもなんともなく、生粋の詐欺集団末端構成員だった。  上村は啓治をケイジ=刑事と勝手に勘違いして、潜入捜査員だと思い込んでしまったのだった。  そして、片や大塚も、警察の潜入捜査員が潜り込むかも知れないと警戒していた所、犯罪者の有名人“ルパン”と名乗る男がやって来たので、新しくやって来る予定に成っている詐欺グループの名の知れた幹部だと思ってしまったのだった。  そんな、犯罪者と警察官が、お互いがお互いを勘違いしている奇妙な状況で、二人は共同生活を送ることになったのである。
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