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今日は特別な日だ。
といっても世界規模の何かがあるとか、国を挙げてどうこう、ということではない。例えばどこかの国では祝日かもしれないが私の住む国では単なる水曜日。もっといえば今日は誰かの誕生日だし誰かの命日だし、誰かにとっては積み重なる日々のうちの特筆すべきこともない24時間だ。
私にとっての今日もなんてことない1日であることも間違いない。身近な人の誕生日や記念すべきことがあるわけではないということも断言出来る。カレンダーで今日の日付を改めて確認しても祝日を示す赤文字はないし、事前に何か印をつけたわけでもない。
それもそのはずで、この特別な日というのはつい先ほど決まったばかりなのだ。
顔にかかるカーテン越しの朝日に目を細め、そうしてぱちりと瞬いた時、そうだ、今日を特別な日にしよう、と思いついたのだった。早い話が単なる気まぐれである。
しかし気まぐれとは偉大なもので、普段は抜け出るのに30分はかかるベッドを軽やかに抜け出しカーペットの上に素足を下すのにも目覚めてから5分もかからなかった。