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「さあ、次だ。準備するぞ。」私達は最終確認をする。
私達に与えられている曲は3曲だ。
夏なのでJITTERIN'JINNの「夏祭り」
ZONEの「Secret base」
作詞荻窪茜、作曲月島あやめ、私達のオリジナル「first love」
Secret baseがあるので、私も歌う。舞台袖からチラリとのぞくと人、人、人…。えっ、私こんなとこで歌うの?
不意に手を繋がれた。見上げると、私の好きな大切な人。
「どうしたんですか?」照れ隠しに尋ねる。彼は何も言わないけど…。本当はわかってる、私の異変に気付き、そっと手を取ってくれたのは。
「出番だ。どうだ?」
「もう大丈夫です。」 裕ちゃんの手の温もりに私は助けられた。
「椿くん、私も。」
「えっ?」私達を見てた唯ちゃんに催促される弟。
「椿、女の子は不安なとき、好きな男の子を頼るのよ。裕ちゃんを見てきた貴方ならわかるはずよ。」
弟の背中を押す。姉として出来ることをしてあげよう。
私達のバンド名が呼ばれる。
「姉ちゃん、ありがとう。」と言って唯ちゃんの手を取りステージにかけ上がった。
「えっ、ええっ?」 手を握ってほしかっただけの唯ちゃんは椿に手を引かれステージに連れ去られた。
「椿に負けてられないな!」ニヤリと笑う裕ちゃん。や、やばい、この表情、ろくなことがない。私は逃げようとしたが、茜ちゃんと陽葵ちゃんに回り込まれてしまった。
「さあ、出番よ。王子様。」私は裕ちゃんの前に連行され…。裕ちゃんにお姫様抱っこされる。
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