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「あ、あのう、嶋田くん。まさかとは思いますが…。」
黙ってステージに向かう裕ちゃん。
「これは流石に恥ずかしいですよぉ。」バタバタ暴れる私をがっちり抱きしめ、ステージに上がる未来の旦那様であった。
異様な歓声をうけ、私はピアノの前で降ろされる。
「もう、覚えておいてくださいね。」笑いながらドラムに向かう裕ちゃんをじっと睨んでやった。
不意に…。
「きーみーがーいたなーつーはー。」あかねちゃんの歌声が響く。
会場がざわめく。姿を見せないボーカルを探す。
「うちあーげーはーなーびー。」
裕ちゃんのドラムと同時にマイクを持った茜ちゃんとギターを持った陽葵ちゃんがステージに飛び込んできた。
「ワーッ」ざっと観客が盛り上がる。ちょっとした中学生の演出と茜ちゃんの歌が会場を魅了したのだ。
茜ちゃんとのデュエットもうまくいった。
最後のオリジナル。これはこの夜初めて世に出す曲だ。切ないバラードに仕上げた茜ちゃんと私の傑作に会場はざわめいた。誰もが聞いたことがない曲だ。ざわめきはいつしかシーンとなった。会場が聞き入ってくれたのだ。
曲が終わると割れんばかりの大歓声。
「ありがとうございました。」6人で礼をして、ステージを去るのであった。
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