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「いや、綺麗なものを見れた…。うわ、なにいってんだおれ…。」
裕ちゃんがここまで取り乱すのも珍しい。
「ふふっ、ありがとうございます。でも恥ずかしいですよ。」私はきゅっと体を押さえる。
「だから…。その…。お返しになればと…。いいかな?」一杯一杯になりながらもなんとか伝えようと伝えようとしてくれる裕ちゃん。
「はい、お願いします。私も普段見ることのできない嶋田くんを見れましたので。」
丁寧に私の髪を洗ってくれる。でも…。手慣れた手つきにちょっとヤキモチがでる。
「嶋田くんは長い髪洗うの慣れてるんですか?」
「そりゃあ毎日唯の髪洗ってるからかな。」
「…。」中学生になってまだ妹とお風呂?
「唯には内緒な。まだ一人で入れないんだ。俺じゃなきゃダメみたいでさ。」小声で呆れながら話す裕ちゃん。なるほど、原因は唯ちゃんか。なら仕方ないな。
「家族以外の髪を触るのは月島さんが初めてだよ。だから、怒らないでね。」耳元で囁く裕ちゃん。
「怒ってません、」かぁっと全身の血が顔に集まってくるみたいだ。
裕ちゃんはまた目に入らないように優しくお湯をかける。
「痛い。シャンプーとお湯が目にはいったじゃん。」「ご、ごめん。」
手慣れた裕ちゃんと初めてな椿。勝負にならないな。
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