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「ウン、高校生。
言ってなかったっけ?」
「言ってないわよ!」
「でもお酒も煙草もやらないって言ったじゃん。」
「プレイ的な話だと思ってたのよ!!!」
私は高校生相手にあんな愚痴を言っていたのか、と大人としての対応に自己嫌悪した後、クロが帰る、という事実を思い出して沈む。
最初はあれだけ帰れ帰れとは言っていたものの、かれこれ二週間ちょっとは同居していたことになるのだ。
それなりに楽しかった日々だった。
それを思うと鼻がツン、と痛くなった。
いやいや、学生の本分は学業だ、笑顔で送り出さなきゃと思う反面、ぼろぼろと涙が溢れ出てくる。
今日は色々ありすぎて情緒不安定だ。
「泣かないでよ。
泣かされるのは好きだけど泣かれるのは嫌いなんだ。」
クロの手がぽん、と優しく頭をたたく。
「俺は黒木夜絃。
野良犬だからさ、きっとまた会えるよ。」
「野良犬はふらふらしてたら殺されちゃうわよ・・・」
「あぁ、殺されるなら愛をもって殺してほしいね。」
一瞬、恍惚とした顔になる。
相変わらず揺ぎ無く危ない奴だ。
だけど私には、その揺るがない姿勢がとてもまぶしく見えた。
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