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そんなこんなで、私とクロの唐突となる日常生活は二週間目に突入しようとしていた。
そして今日も、クロ用に買ってきた唐揚げ等々のお惣菜を与えながら、酒を飲みあさる私の愚痴を聞いてもらう。
私の職務内容は、まぁ所謂守秘義務的なアレで詳しいことは言えないのだけど、書類整理が主な仕事である。
同じ仕事を任されることが多い同僚の女二人が、私語が多いわ仕事押し付けてくるわ、そのくせ上司に良い顔したいのか猫被るわでもう私のイライラは毎日爆発寸前なのである。
そんな愚痴を聞いてくれるクロ、めちゃくちゃ良いやつ。
唐揚げに夢中になっててこっちの話聞いてるのか分かんないけど、大学進学と同時に上京してきて親元を離れ、彼氏もいない私にとって話相手がいるだけでストレス発散できる。
ちょくちょく「俺のこと殴る?」って聞いてくるのはうざいけど。
だから殴らないってば、私をお前の性癖に巻き込むな。
「ちゃんとやれって言えば良いジャン。」
ほっぺに唐揚げ詰め込みながらやっとまともな返事をしてきた。
なんかリスっぽい。
リス見たことないけど。
「言えたら苦労しないの!
女の陰口なめるなよ、あとからぐちぐちぐちぐちぐちぐち・・・」
「夏子サン、今何回ぐちって言った?」
「うるさいなぁ!」
茶々入れられた腹いせに、タッパーに残ってた最後の唐揚げ奪ってやった、ザマミロ。
体裁や周りの視線を気にして行動するのは私の癖だ。
同僚にちゃんとやって、と言えたら解決するのはわかってはいるのだけど。
「夏子サンは周りを気にしすぎだって。
人って思ってるほど君のこと気にかけてないからね。」
「なんかそれはそれで傷つくな・・・。」
それでもうんうん唸ってると頭を撫でられた。
テーブルにほっぺたをくっつけて睨みつけると、クロは私の頭を撫でながら、枝豆に手を伸ばしていた。
あ、こら、私のおつまみ。
「クロって良いよね、なんでもプレイだ~とか言って楽しめそう。」
「そうでもないよ。
俺だってヤなことはヤだし。
好きな子にだったらつくしたいとは思うけど。」
そうなんだ、嫌なこともあるんだ、意外。
てか好きな子いるんだ。
好きな子いても性癖合致する子いるのかなぁ。
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