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「同僚サンにやってって言われた事をさ、マツモトサンにやってって言われたらヤな気し ないデショ。」
「・・・・・・・・・(否定できない)」
マツモトサン、というのは私の上司であり、私の想い人である松本さんのことだ。
仕事できて頼れるし、レディーファーストの精神素敵だし、何よりも顔が良い。
その分やっぱり人気な人で、例の女同僚の会話にもよく出てくる。
「バイト先でさ、嫌な客に当たった時は、その客を、好きな人が送り込んだ奴って思うよ うにしてるんだ。
俺は好きな人に試されてる、愛を確かめられてるんだ~って。」
「ちょっとアンタの思考回路にはついていけない。」
恍惚とした笑顔でそう宣うクロにドン引きの目を向けてやる。
なんだよあいつ等が松本さんの送り込んだ奴って。
あながち間違っちゃいないだろうけど松本さんとあいつらが仲良いみたいでなんか嫌だな。
「てかクロ、あんた働いてたの。」
「ン、今は休んでるけどね。」
「ニートじゃなかったんだぁ。
なんで今やってないの?」
「父さんにさ、バイトの事知られそうになったから、身体の傷なくなるまで大人しくしと こうと思って。」
この時の私はかなり酔ってたんだ。
身体の傷、という単語からなんかやばそうだって感じられただろうに、へべれけの私はなんとなくテンションが上がって聞いてしまった。
なんのバイトしてたの、って。
「SМバーだけど。」
そんな仕事が実際にあることに驚いた半面、コイツゆるぎねぇなとちょっと尊敬さえしてしまった。
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