0人が本棚に入れています
本棚に追加
「……こ、琴」
「ただいまっ!」
ってうぇー!? 琴実が急にオレに飛びついてきた!
「おっかえり琴実ぃ~!」
「うおぉいっ!」
悠美まで飛びつかれて危うく倒されそうになったが、オレの右アキレス腱は頑丈だった。ありがとう準備体操作ってくれた人!
オレは男で悠美も琴実も女。男であるオレにとって、女の子に、しかも二人も飛びつかれてうれしいのは当然のことだ。
でもさ。そのうれしいっていう気持ちよりも、さらにうれしい気持ちがそこにはあった。たぶんオレが女だったとしても、今ものすごくうれしいことに違いない。オイ言っておくが深い意味はないからな。
「うれしいっ。またみんなで一緒に遊ぼうね」
琴実の笑顔が、ここにまたある。
「うんうん! やっぱ相巳の相手は琴実に任せるのが楽だわー」
「おいおい早起きしようぜって誘ってきたのは悠美だろうが」
なぜかオレの背中をバシバシ叩いていた悠美だったが、その手も少し弱まり、
「でも琴実が今日……ほら……こうして、目の前で立ってくれているんだもん。こんな特別な日、一秒でも早く琴実に会いたかったに決まってんじゃん」
「早起き? 相巳くんが、私のために……?」
「おい琴実、その手の覆い方はなんだ」
琴実は自分の口を両手で覆っているが、見えている目元で笑っているのがバレバレ。
「だってっ……ふふっ、相くんが、は、はやっ……ふふふっ」
「ぬあぁぁぁーー!! オラオラおめーら、学校行こうぜったく……」
「ふふっ……あは、あははっ」
「笑いすぎだちきしょーーー!!」
笑ってる悠美が真ん中、ぷんすかぷんのオレが右、こちらも笑っている琴実が左。一列に横に並んで一緒に学校へ登校した。
最初のコメントを投稿しよう!