早起きと玄関と笑顔

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「……こ、琴」 「ただいまっ!」  ってうぇー!? 琴実が急にオレに飛びついてきた! 「おっかえり琴実ぃ~!」 「うおぉいっ!」  悠美まで飛びつかれて危うく倒されそうになったが、オレの右アキレス腱は頑丈だった。ありがとう準備体操作ってくれた人!  オレは男で悠美も琴実も女。男であるオレにとって、女の子に、しかも二人も飛びつかれてうれしいのは当然のことだ。  でもさ。そのうれしいっていう気持ちよりも、さらにうれしい気持ちがそこにはあった。たぶんオレが女だったとしても、今ものすごくうれしいことに違いない。オイ言っておくが深い意味はないからな。 「うれしいっ。またみんなで一緒に遊ぼうね」  琴実の笑顔が、ここにまたある。 「うんうん! やっぱ相巳の相手は琴実に任せるのが楽だわー」 「おいおい早起きしようぜって誘ってきたのは悠美だろうが」  なぜかオレの背中をバシバシ叩いていた悠美だったが、その手も少し弱まり、 「でも琴実が今日……ほら……こうして、目の前で立ってくれているんだもん。こんな特別な日、一秒でも早く琴実に会いたかったに決まってんじゃん」 「早起き? 相巳くんが、私のために……?」 「おい琴実、その手の覆い方はなんだ」  琴実は自分の口を両手で覆っているが、見えている目元で笑っているのがバレバレ。 「だってっ……ふふっ、相くんが、は、はやっ……ふふふっ」 「ぬあぁぁぁーー!! オラオラおめーら、学校行こうぜったく……」 「ふふっ……あは、あははっ」 「笑いすぎだちきしょーーー!!」  笑ってる悠美が真ん中、ぷんすかぷんのオレが右、こちらも笑っている琴実が左。一列に横に並んで一緒に学校へ登校した。
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