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ちょっとパパとママに会いたくなってきた頃に突然やってきたぴえと、ボクはすっかり仲良くなって、一緒におやつを食べたり、テレビをみたり、遊んだりした。
遊び始めてどれだけたったんだろう? お空はだんだんと赤くなってきて。カラスの鳴き声が遠くに聞こえ始めたときに、突然聞こえ始めたんだ。
楽しそうな笛の音が。
「おっ。始まったぴぽ!」
「何がはじめったの?」
いきなりぴえが立ち上がったので、ボクは首を傾げた。
「これから楽しいお祭りが始まるんだぴぽ! 一緒に行こうぴぽ!」
そう言ってぴえはボクに向けて手を差し出した。
「楽しいお祭りなの?」
「そうだぴぽ。こどもだけの特別なお祭りなんだぴぽ。今聞こえてる笛の音についていけば着ける楽園なんだぴぽ。さぁ、笛の音が聞こえているうちに一緒に」
ぴえはそう言ってボクの手を掴んだ。
「でも、お家を守らないと」
そうだ、ボクにはパパたちが帰ってくるまでこの家の隊長なのだ。ボクがいなかったら悪い怪人さんが入ってしまう。
「少しの間だから大丈夫ぴぽよ。君のママたちにはぼくから伝えておくから大丈夫だぴぽ」
ぴえはにこりと笑う。
「でも、ボクは外には出られないよ。ママとの約束だから。ぴえだけ楽しんでおいでよ」
ママとの約束は守らなきゃいけないし、それに、パパが買ってくるお土産が楽しみだから、家に残るとぴえに伝えると、ぴえは少し残念な顔をして。
「そっか。それなら仕方ないぴぽ。君とはここでお別れだぴぽ」
ぴえはそう言って、すぅっとボクの前から消えていった。
ぴえがいなくなったあと、ボクは少し眠くなってきた。
「ぴえと遊んで疲れちゃったのかなぁ……。ママたちまだかなぁ……」
ボクはテレビもつけたまま、テーブルにうつ伏せになって、そのまま寝てしまった。
ボクの特別な日の特別な出来事のお話はコレでおしまい。
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