マリア

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「この子、何時に生まれました?」  そうだ、と私は顔を上げる。きょうは、特別な日なのだ。私の三十五回目の誕生日で、妻の誕生日だ。ぜひともこの日に、この子の誕生を願っていた。 「日付が変わって、午前零時十七分です。おめでとうございます」 「あ、そうなんだ、ありがとうございます」  妻は天井を見上げ、生まれたての我が子の頭を撫でた。 「ごめんね、もう少しがんばったら間に合ってたかも」  そういう妻に、とんでもない、と首を振る。 「日付なんてどうでもいいじゃないか、例えいつであっても、特別なことに変わりない」  小さな我が子の背に触れる。きちんと呼吸をしている。素晴らしいことだ。 「しょうちゃんなら、そう言ってくれるって思ってた。ありがとう、最高の父親よ」  妻は笑う。私はとまった涙をふたたび溢れさせた。愛すべき我が子は無防備に目を閉じている。今日は、特別な日だ。
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