第1章

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「向こうの家に着替えがあるから、俺、あっちでシャワー浴びるよ。 出る前にここに来るから…。」 「うん。」 力なく横たわりながら、もうお別れの時間が近いんだと悲しい気持ちになる。 遅くても夜には会える 遅くなる原因はわかってる それを思うとチクンと胸が痛む。 大丈夫、彼の気持ちは私にある 彼は信じられる 高校のときから私だけを見てくれる愛しい人 彼を信じなくて誰を信じると言うの? 私は信じてひたすら待つだけだ。 「赤ちゃん、パパを守ってね。」 お腹に手を当てて優しく撫でる また力が湧いてきた気がする。 この子はいつも私に元気をくれる。 この子と一緒なら、辛いこともきっと乗り越えられる。 まだ見ぬ赤ちゃんに思いを馳せながら、ゆっくり目が閉じていった。
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