第1章

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開いてみるとそこには愛しい人の名前 『何してるの?』 撮影の合間にメールをしているのか、短い文章。 「テレビ見てる。」 『こっちに引っ越してこない?』 え、え? 引っ越しって? 一緒に暮らせるの? 「高村くんの家?」 『もう高校も退職したし、そこにいる理由はないだろ?』 「うん、そうだけど。私がそっちに行って邪魔にならない?」 『俺はもう大人だよ。彼女と暮らしたって問題はないよ。 夕貴が心配だし、子供のためにも早く一緒に暮らしたほうがいいだろ?』 自分でも分かるくらい頬が緩み口角が上がっていく。 そうだ、もう昔とは違う。一緒にいられるんだ。 「行きたい。私も高村くんと暮らしたい。」 『ご両親に了解を取りたいけど、仕事が詰まってて行けそうにないんだ。 夕貴に一日も早く会いたいのに…。 夕貴が足りない。俺の家に夕貴が来てくれたら、夜だけでも一緒にいられる。』
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