第1章

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「美味しそうだね、いただきます。」 高村くんのハムエッグは丁度いい半熟で凄く美味しかった。 昨日1人で食べたときは心細くて味気なかったのに、二人で食べる食事は美味しくて箸が進む。 「何時に出るの?」 紅茶を飲みながら聞いてみる。 「ああ、あと一時間したら出ないと。」 「そっか、夜は遅くなるんだよね?」 また一人でこの広い家で過ごすんだと思うと気持ちが落ちていく。 けど、そんな顔は見せられない。 笑顔を作って気持ちを悟られないようにするけど、ちゃんと笑えてるか分からない。 「早く帰ってきたいけど…、遅くなったらごめんな。」 ふるふると頭を振って 「遅くなっても会えるから大丈夫。」 「うん。健に俺のこと聞いた?」 「聞いた。令嬢が高村くんのことを気に入ってるって。その会社に違約金を請求されたら会社が潰れるって。」
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