第1章

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「私も会いたい。 両親に話してみる。」 『お願い。ご両親にもよろしく伝えてよ。』 「うん、今から電話する。」 『今から撮影だから、結果をメールしといて。 あとで見るよ。』 「分かった。お仕事頑張ってね。」 そう送って実家の番号を呼び出した。 一緒に暮らせる そう思ったら居てもたってもいられない。 直ぐにでも彼の家に行きたい。 『もしもし』 「私、夕貴。 母さんにお願いしたいことがあるの。」 『何?結婚のこと?』 「彼の仕事が忙しくて、結婚のことはなかなか進んでないんだけど… 一緒に暮らそうと思って。」 『同棲するってこと?』 「うん。高村くんも母さんたちに話に行きたかったみたいだけど、時間がとれなくて。」 『子供もいることだし、二人の気持ちも聞いてるし、私達に反対する理由はないけど… 高村くんに迷惑がかからない?結婚前に一緒に暮らしてるとゴシップ記者に見つかるかもよ。』 「…う、うん、そうだよね。」 『ちゃんと世間に発表してから一緒に暮らす方がいいと思うけどね。』 そうだ、その通りだ。二人の気持ちだけじゃダメなんだ。 高村くんにはファンがいる。彼を支えてくれているスタッフもいる。 その人たちを裏切るようなことはできない。 彼の今後にも関わることだ。
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