14時46分

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14時46分

 今日は、特別な日だ。そんな日にはしたくなかった。できればなんてことない、ありふれた、ただの一日であって欲しかった。それは今でも思っている。この日を、特別だと胸に抱えるのは自分一人で十分だ。それをどうして、見ず知らずの人たちが寄ってたかって口にするんだろう。  俺の悲しみは、俺の孤独は、俺の寂しさは。そんなの全部、俺のものだろうに。 「七年もあれば小学生は卒業するし、中学生は成人する。それくらい時間は経ってるんだよ。それを長いか短いか、というのは人によるけれど」 「お説教のつもりか? それとも慰め? どっちも俺には不必要だってこと、そろそろ気づいてもらえたら嬉しいんだけど」 「……わかっているよ」  そうだな、七年経てば人は変わる。あの頃まだ大学生だった俺たちは社会に出て働いている。私立探偵と鳶職、なんて随分と不思議な組み合わせだけど俺たちはもう「大人」になっていた。     
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