マヨヒガの部屋

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 まあ、住んでみるとその部屋はちょっと古くて変で高そうなものがたくさん置いてある以外はそんなに悪くない。家電だけはなぜか新しいし、綺麗に掃除もされているし、私自身も掃除は好きだ。だからひと月住むぶんには全然不自由はしないだろう。  でも、この部屋には一つだけ問題があった。住んでみて次の朝すぐわかった。何故かというと、疲れて脱ぎ散らした私の服が、綺麗にたたんで置いてあったりしたからだ。  私は驚いてとにかく不動産屋へ電話をした。この部屋にはストーカーがいるのではないかと。即刻対処されたいと。けれど不動産屋が言うには、その物件は事故物件ではないし、もしかすると少しおかしなことが起こるかも知れないが、問題はない。何だったらストーカーや盗聴の調査を行っても良いと言うことだった。  そこまで言うなら、と、私は折れた。まあ、何か含みのある言い方だったけれど、不動産屋が嘘をついているようには思えなかったので、渋々引き下がった。  それからも、不思議なことはたびたび起こる。干し忘れた洗濯物が干してあったり、今日みたいに料理の下ごしらえがしてあったり、閉め忘れた窓の鍵が閉まっていたり、などエトセトラエトセトラ。  それから、もう一つ不思議なことがあった。この部屋に友達を呼ぶと、どうしてだかみんな辿りつけないのである。 *******
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