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「翠は記憶の一部を失っていると言っていたが、仕事に関しては問題なくやれている……」
携帯電話をポケットにしまい、翠の寝室を覗いた。腰高窓が開いていて、カーテンが揺れていた。難病の母親を失ってからずっと抱えている悲しい感情のうずは、残っていた。
”現場で人骨が見つかったらしい。月百千さんが立ちあえと言っている”
翆の携帯電話にメッセージを送った。しかし返信は、無い。
きっと駄菓子屋の峯さんを、探しに行ったのだろう。まるっこい目をしたやさしいおばあさんだ。
二日前から行方不明になってしまっていた。
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