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「これは違法AIによる違法なチート試合です。可及的すみやかに接続を外されることを強くおすすめいたします」
田中は、以前、目の前で消えたcontinue?のカウントダウンを思い出した。あの日、あの時だ。数えきれないくらい考えた。果たせなかった。あのコンティニューを引き継いでいたら? 中田は、ああならずにすんだのでは? 中田を、たった一人の友人を、救えるチャンスを、見殺しにしなかったら? 中田を見捨てなかったら?
まだ600秒残っている。
子供の頃に読んだ絵本を思い出す。
操り人形のひもに吊るされた絵本の悪魔は、こう言った。
「取引ヲシヨウ。イイ話ダロウ」
悪魔はそう言いました。
「ワレラ魂ヲモタザルガユエ」
「敵機は?」
「アンノウンシルエットから察するに、バズーカ、各種グレネード。CIWS装備のフォートレス級ですがなんらかのチートを扱っているのは確かです。棄権されることをおすすめいたします」
「あの時、俺が間に合っていたら。中田は、あんなことに」
「これは違法AIによる違法な」
「大人に言っても無駄だった! リトルリーグ決勝戦機起動!」
「リトルリーグ決勝戦機起動します」
「I bed my life! フォボス! 俺は命賭けるぞ!」
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