第一章 I bet my life!

10/30
前へ
/30ページ
次へ
「これは違法AIによる違法なチート試合です。可及的すみやかに接続を外されることを強くおすすめいたします」  田中は、以前、目の前で消えたcontinue?のカウントダウンを思い出した。あの日、あの時だ。数えきれないくらい考えた。果たせなかった。あのコンティニューを引き継いでいたら? 中田は、ああならずにすんだのでは? 中田を、たった一人の友人を、救えるチャンスを、見殺しにしなかったら? 中田を見捨てなかったら?   まだ600秒残っている。  子供の頃に読んだ絵本を思い出す。  操り人形のひもに吊るされた絵本の悪魔は、こう言った。 「取引ヲシヨウ。イイ話ダロウ」  悪魔はそう言いました。  「ワレラ魂ヲモタザルガユエ」 「敵機は?」 「アンノウンシルエットから察するに、バズーカ、各種グレネード。CIWS装備のフォートレス級ですがなんらかのチートを扱っているのは確かです。棄権されることをおすすめいたします」 「あの時、俺が間に合っていたら。中田は、あんなことに」 「これは違法AIによる違法な」 「大人に言っても無駄だった! リトルリーグ決勝戦機起動!」 「リトルリーグ決勝戦機起動します」 「I bed my life! フォボス! 俺は命賭けるぞ!」     
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加