第一章 I bet my life!

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 敵のフォートレスが後退しながらバズーカ、バルカン射撃。さらにグレネードを投げる。 「いがぐりグレネードで煙幕つぶす気だ」 「ウニ喰いてえ」   双子が双眼鏡をかまえた。 フォートレス級が投げたグレネードから長い針が無数にのび、ウニか、いがぐりみたいに煙幕の空間にあるものをすべて串刺しにする。  煙幕から投擲盾がいくつも投げられ、離れた間隔を開けて、地面に突き刺さる。   盾に次々にウインチワイヤーを投げては、巻き上げて、盾の間を不規則に田中機が滑空してくる。フォートレス級が盾を吹き飛ばす頃には、田中機はもう、次の盾に移っている。 「うまい」 「小さくて速い。来るとわかってるのに当てられない。あれが田中のフォボス(恐怖)」  双子が感嘆の声を漏らした。  軍神アレスの馬車を引く二頭の怪物フォボス(恐怖)とディモス(戦慄)。  来ると分かっているのに、いくら撃っても当たらない。田中の強行接敵にさらされたプレイヤーは、強烈なプレッシャーにさらされる。田中は、銃を持たない。撃ち合いがメインのゲームであるにもかかわらず、だ。撃っても撃っても当たらない。     
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