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田中にナイフを持たせたのは、中田だ。ナイファー。ビビリで臆病な田中の性格を才能だと中田は言った。まっすぐ立って歩かず、怖くなるとすぐ頭を抱えてしゃがみこむ。
いじめっ子に見つからないよう、息を殺す。すごい才能だと。中田は、インタラバトルで田中の背にくっついて走った。田中の避ける才能は、天性のものだった。
田中が避けられないものは、中田が電子戦機でジャミングした。
電子戦機は、敵のレーダーを邪魔して、味方を見えなくする。敵のミサイルは誘導が効かなくなる。敵のレーダーにニセの情報を送り込んで撹乱する。軽く体力がなく、大型のフォートレス級に狙われたらひとたまりもない。電子戦機の戦い方は、基本、嫌がらせだ。
遠くから、大型機の目を潰し、武装を傷つけて、使えなくする。
田中と中田、二人のコンビ、田中田中田(たなかだなかた)は、インタラバトルでメキメキと力をつけた。公式大会で連勝の快進撃を見せた。止めるものはいなかった。
二人だと無敵だった。あの日まで。俺のウイングが帰ってくる。
上級生も大人も、田中田中田には敵わなかった。
トロフィーも賞金も素材も全て手に入った。あの日々が帰ってくるのだ。
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